二次会の新たな開設
「トランスフォーメーション」において、K氏には、研究開発と設備投資のそれぞれに5000億円ずつ、計1兆円が委ねられた。
これには、出遅れた薄型テレビの代表商品である液晶パネルの安定調達のため、サムスンとの合弁で立ち上げる製造工場への投資も含まれるが、中心は何といっても「CELL(セル)」と呼ばれる新メモリーの開発と設備投資である。
かつてSは、CCDなどで巨額の開発投資を断行したことはあったが、ここまで短期的に巨額の資金をひとつの半導体の開発につぎこんだことはなかった。
劣勢を一挙に挽回しようとする焦りとも受け取られかねない大胆な戦略である。
プレイステーション流Bモデル2003年6月の恒例の経営方針説明会におけるアナリストとK氏のやりとりは、従来のSと、Bモデルの変貌を際立たせていて興味深い。
質問にたったアナリストはこう言ったのであ「CELL」の開発は、SがIBMと東芝という日米半導体メーカーと組んで開発する一大プロジェクトであるが、その全貌はまだ明らかにされていない。
しかし、その目論みの原型は、やはり「プレイステーション」にあると言わねばなるまい。
「失礼ながら、プレイステーション2は発売以来、今日までまるで進化を見せていない。
これではその競争力も落ちていくのではないか」これに対しK氏は悠然とこう切り返している。
「不思議なことをおっしゃるものです。
プレイステーション2は、ハードとしての進化なり変化なりを凍結しているから成功してきたわけで、ハードが普遍的なプラットホームの役割を果たすことで、多くのゲームソフトが安心して作られ、ユーザーもプレーヤーとしてどんどん参加してもらえたわけです。
そのあたりが従来の製造業のBモデルとは根本的に違うのです」自信満々に答えるK氏のこの言葉には、これからのハードBは、ソフトBと不離一体の関係になければならないという哲学がある。
実際、プラットホームとしてのプレイステーションは、ゲームマーケットが育つインフラの役割を担った。
第二のインテルを狙えもし、デジタル家電の多くに、プレイステーションのようにSの半導体が組み込まれればどうなるだろうか。
世界中のパソコンメーカーは、マイクロソフトにライセンス料を払い、インテルから基幹CPUチップを購入してパソコンを組み立てている。
普及が進み、価格が下がれば組み立てメーカーにはほとんど利益は残らない。
一時は一世を風廃したSの「V」ですら、収益が見込めなくなCDプレーヤーの市場がCDソフトの普及を待っていては育たなかったようにプレイステーションも当初は利益を無視した価格政策がとられた。
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